「尿意を感じるのになかなか出ない」「トイレに行った直後にまた行きたくなる」とお悩みの方の多くは、病院の受診や他人に話すことに抵抗を感じているかもしれません。
排尿障害は日常生活に影響が大きく、放置しているとQOL(生活の質)の低下につながります。当院では、日本泌尿器科学会 指導医の資格を持つ院長が、プライバシーに配慮しながらやさしく丁寧に診療いたしますので、ご安心ください。
皆さまのQOL向上のために、排尿障害の改善に向けて親身にサポートさせていただきます。
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に溜まります。これを「畜尿機能」といいます。
膀胱の尿がいっぱいになると、尿道を通って身体の外へ排出されます。これを「排尿機能」といいます。
排尿障害とは、畜尿機能や排尿機能に問題が起こり、スムーズに排尿できない状態のことです。
尿を溜める機能にトラブルが起こることを畜尿障害といい、うまく尿を溜められずに頻尿や尿失禁などにつながります。原因はさまざま考えられますが、溜まっている尿が少ないのに膀胱が過剰に収縮してしまう過活動膀胱がおもな原因の一つに挙げられます。
また、尿がなかなか出なかったり、残尿感があったりする場合は、排尿機能にトラブルが起こる排出障害かもしれません。男性の場合は前立腺肥大症などによって起こる可能性もあります。
過活動膀胱
急に尿意を感じる「尿意切迫感」があり、1日8回以上もトイレに行くような頻尿や夜間頻尿などの症状がみられます。トイレに間に合わずに尿失禁してしまうこともあります。これは膀胱の中の尿がいっぱいになっていないのに、膀胱の筋肉が勝手に収縮して尿を出そうとしてしまうことで起こります。高齢になるほど起こりやすく、活動の制限をするようになるとQOLが低下していきます。
前立腺肥大症
前立腺は男性だけの臓器で、尿道を囲むように膀胱の真下にあります。年齢を重ねると前立腺は肥大する傾向があり、膀胱や尿道を圧迫するほど大きくなると頻尿や残尿感を起こします。排尿が難しくなったり、日常生活に支障が出たりする場合は、治療が必要です。
膀胱炎
尿道から大腸菌などの細菌が入り込み、膀胱で炎症が起こることを膀胱炎といいます。頻尿や残尿感、排尿時の痛みなどが起こります。尿に濁りや血が混じることもあります。男性よりも尿道の短い女性に起こりやすい病気です。
発熱も伴う場合は、細菌が腎臓にまで達して炎症が起こる腎盂腎炎の可能性があります。
尿路結石
尿に含まれる尿酸やシュウ酸、カルシウムが飽和状態になると、結晶化して石のようなかたまりを作ります。通常は小さいうちに体外に排出されますが、大きくなって腎臓の出口などで詰まると激しい痛みを感じます。さらに、腎臓に尿が溜まってしまうと水腎症を起こす可能性もあります。
結石は腎臓で作られることが多いですが、排出障害がある場合は膀胱にできることもあります。
骨盤臓器脱
女性に多くみられる病気で、出産や加齢などによって筋力が低下して骨盤内の臓器(子宮・直腸・膀胱など)を支えられなくなり、膣から体外に出てしまう状態です。座った際に違和感があり、膀胱が出てしまった場合は頻尿など排尿に関する症状もみられます。
膀胱がん
膀胱に起こるがんの総称を「膀胱がん」といい、大部分は膀胱の内側を覆う尿路上皮という粘膜に発生します。初期症状はあまりないことが特徴で、症状が進行すると血尿や頻尿、残尿感が出てきます。さらに悪化すると、脇腹・腰・背中などに痛みを感じます。中高年の男性に多くみられ、喫煙がリスクを高めると考えられています。
検査
排尿障害を引き起こしている病気を特定するために、尿検査を行います。ほかにも膀胱鏡検査や超音波検査、必要に応じて血液検査を行う場合があります。
治療方法
一般的に泌尿器科では保存的治療を優先し、改善が見込まれない場合は手術療法を検討します。
当院でもまずは生活指導や理学療法、薬物治療などの保存的治療を行います。日本泌尿器科学会 指導医の資格を有する院長が、皆さまが快適に日常生活を送れるように適切な治療をご提案いたします。
より高度な治療が必要な場合は提携している基幹病院などをご紹介いたします。手術の際には当院の院長が執刀することも可能ですので、ご相談ください。
・生活指導
禁煙・減量・水分摂取量の調整など
・理学療法
膀胱容量を増加させるための膀胱訓練や、骨盤底筋群を鍛えるトレーニングなど
・薬物療法
畜尿障害の場合は抗コリン薬やベータ作動薬、排出障害の場合はPDE5阻害薬やα1受容体遮断薬など
・導尿
尿道にカテーテルを挿入して尿を排出
により改善される可能性があります。
病院の治療のほかにも、日常生活の中でできる対策を取り入れることが、排尿障害の改善につながります。
さまざまな排尿方法を
試す
スムーズな排尿を促すために、以下のことを試してみてください。
・流水音が流れる機能やBGMを使って、排尿をイメージする
・トイレの掃除をしたり、インテリアを変えたり、リラックスできる工夫をする
トイレに行く
時間を決める
膀胱に尿がたまっていても尿意を感じにくい場合は、2~4時間程度で定期的にトイレに行くようにします。医師と相談しながら、トイレに行く間隔を決めましょう。
下腹部の張りをトイレのサインにする
尿意が感じにくいときは、下腹部を意識するようにします。張りや重たい感じがあれば、トイレに行きましょう。わかりにくいかもしれませんが、何度も繰り返すうちに感覚をつかめるようになります。
便秘にならないように
する
便秘でお腹がふくらむと、膀胱が圧迫されてしまいます。頻尿が起こりやすくなり、さらにひどくなると尿が通るスペースをふさいでしまうこともあります。便秘にならないように、適度な水分摂取と食物繊維の多い食事を心がけるようにしましょう。
排尿日誌を記入する
排尿日誌とは、排尿した時間や尿量、尿失禁の有無などの記録です。ご自身で排尿の傾向を確認でき、日常生活における患者さまの状態を医師が把握するための重要な手がかりにもなります。
周囲のサポートを受ける
トイレの時間を決めたり、排尿日誌をつけたりしても、つい忘れてしまうことがあります。患者さまのお気持ちを理解してくれるご家族や周りの人からのサポートも、排尿障害と向き合うために大切です。